縁あって金沢にまいりました。
今が旬。身と同じぐらい玉子も関心が高く、いくらも秋の風物詩なんです。
我々は人様と違い、妊娠はみんな同じ季節にするんです。大きくわけると子孫を残すために命を全うするものと人様に召し上がっていただくものと。
私は自分で決めたわけじゃないけど、運命か後者のほうだったみたい。気づいたら北海道の漁港で競り落とされていたわ。それからトラックで金沢へ。長い旅路だったわ。
でも、後悔はしてません。ここちやさん私を人様にささげるなら、どうか骨の髄までしゃぶられるぐらいに料理して。お願い。
頭や骨は体以上に温もりを感じたわ。私に何をしたの?ここちやさん。
私の子供達にも就職先を準備してくれたのね。お焦げのついた土鍋御飯なんてこの不景気にありがたかったわ。
もう一度お伝えします。私、後者で後悔はしてないの。例えそれが自分で決断していなかったことでも。さよなら。